Special Interview
勉強ぎらいな少年の心をつかんだのは、馬だった

古田 慶幸

前回行った乗馬クラブ「ホースガーデン」の中倉 優子さんのインタビュー時、中倉さんが、「ぜひ彼にも話を聞いてみて」と、ご紹介くださった古田慶幸さん。突然のインタビューにも快くお応えくださいました。

中倉優子さんのインタビューはこちら


── 突然のお願いにも関わらず、インタビューをお引き受けくださりありがとうございます。それでは早速、普段のお仕事内容を教えていただけますか?

古田

私はチーフみたいな立場で、馬の手入れ、馬の調教、お客さまの乗馬レッスン、また立場上スタッフの教育もしますし、他にも競技のスケジュールを組んだり、選手として大会に出場したり、なんでもやっております。

──中倉さんが仰っていたとおり、スーパーマンですね。馬と関わりはじめたのはいつごろだったのですか?

古田

2000年ですね。出身は埼玉なのですが、仙台に単身赴任していた父に岩手の乗馬クラブを紹介してもらい、高1の夏休みに行ったら楽しくて。 次の年の高2の春には高校を辞めて、馬の世界に飛び込みました。馬つながりで海外へ行ったり、放浪をしたりしました。最後にこのホースガーデンに来た感じですね。

──高校を中退して、遠く離れた岩手に行くことは、一大決心だったのではないですか?

古田

馬はかわいいし、面白くて奥が深いと思ったので、やりたくないことより、やりたいことをやってみよう、という気持ちでした。あと当時は勉強が本当に嫌いで、天秤にかけた時に、たまたま馬のほうに少し傾いたってだけですよ。高校を中退して親の反対を押し切って出てきた手前、続けざるをえない部分もあったでしょうね。でもそれ以上に続けられる、続けたくなる材料がたくさんありました。

──中倉さんとはどのように出会われたのですか?

古田

岩手の乗馬クラブで働いているときに、海外で馬の勉強がしたいという気持ちがあり、短期で何回か行っていたんです。長期でも行ってみたかったので、さてもう1回ヨーロッパへ行こうか、(それともorそのために)日本で働こうかと考えていた時に、ホースガーデンで働きませんかとお話をいただきました。中倉と会い、馬に対する考え方や経営方針を聞いて、ここなら自分のやりたいことをやりながら成長していけるなと思えたんです。

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スーパーマンの舞台裏

──ホースガーデンでは、スタッフとしての勤務のほか、障害馬術の選手として競技もされているのですよね。

古田

選手としてっていうと、たいそう立派なことみたいですが…。(笑)日頃教えているお客さまの競技のフォローをしたり(原文:お客さまを連れたり)、馬のパフォーマンスを最大限に引き出して良い成績をおさめる、という意味では、まだまだ課題が多いです。

──ストイックですね。

古田

どの業界でも言えることですが、トップの人たちって本当にストイックですよね。自分もずっと競技者でいたいので、甘えていてはいけないと考えています。実はもともと競馬関係にいきたかったんです。日本で「馬」と聞いてぱっと思い浮かぶのは競馬じゃないですか。自分も例に漏れずそうだったし。だけど、乗馬クラブで最初についた先生がたまたま乗馬を専門にやっている方で、また身長も高くなり、ジョッキーは難しいかなと思い、乗馬にのめりこんでいきました。

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──競技者としての目標はなんですか?

古田

全日本チャンピオンになることが現在の目標ですが、ひとつひとつの競技会で、馬にとってベストな成績を出せることも心がけています。もちろんお客さまもベストな成績を出せるようにという思いがあります。

──教える立場も同時に担っていらっしゃる訳ですもんね。

古田

やらないと回っていかない業界なので。見た目は華やかだし、お客さまも余裕のある方が多いですけど、現場はシビアです。左うちわで競技だけに専念するのは、自分にはまだできないから、なんでもやります。トラックを自分で運転して、片道10時間かけて競技へ向かったり。で、馬をおろしてトレーニングして、競技に出て、片付けをして、お客さまのレッスンもして、また10時間かけて帰る…なんてこともよくありますよ。

──大変そうですが、だからこそ生まれる馬とのコミュニケーションもありますよね。

古田

もちろんあると思うし、あってほしいなって思う。馬は鏡のような存在で、自分がやったことがきちんと返ってくる。ひねくれたことを言うのもあれですけど、人間ってどんなに好意をもっても、向こうにその気がなきゃ返ってこないじゃないですか。馬は、できるだけストレスがない環境で飼ってあげて、心から丁寧に世話をしてあげているとちゃんと返ってきてくれるんです。

──それも馬の良さのひとつでしょうね。古田さんは他の乗馬クラブや、海外での経験も積んでいらっしゃいますが、ホースガーデンならではの良さは何だとお考えですか?

古田

どこの施設も馬たちが一番健やかに育ち、生活できることを目指しています。ホースガーデンの中倉の思いは、どの馬にも分け隔てなく接してほしいというものです。競馬に例えると、未勝利馬もG1馬も同じようにいい生活を送らせてあげたいのです。こういったことって、ほかの施設でも言われていますけど、果たしてどこまで実現できているか、となると曖昧なところが多いですね。ホースガーデンのように、施設のトップが馬のレベルや市場価格に関係なく接してねと言ってくれるのは、心強い後押しになりますし、非常にやりやすいです。お客さまとの会話でも、馬を大事にしてやりましょうという話をよくします。

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──私たち桜花のキセキも全員馬が好きですが、馬って、猫や犬ほど身近な動物とは言いにくいじゃないですか。もっと馬と接する機会が増えていけばいいなと思っています。馬と接するにあたってのアドバイスなどありますか?

古田

好きの形はいろいろあるので、無理に何かしなきゃいけないことはないと思います。1番大事なことは、相手の立場に立つことですね。自分が馬だったら、こうされたら嬉しいだろうな、嫌だろうな、と考えてみてください。馬の方から寄り添ってくれますし、馬のことがもっともっとわかるようになると思います。

──これから馬と触れ合うメンバーにも伝えます!

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